山田昌弘「少子社会日本」

少子社会日本―もうひとつの格差のゆくえ (岩波新書)

少子社会日本―もうひとつの格差のゆくえ (岩波新書)



 「パラサイトシングル」「希望格差社会」などで有名な家族社会学者,山田昌弘氏の少子社会分析の本。
 少子化と言えば経済学の観点からの議論が多く,それはそれで重要なものの,何となく辟易としていましたが,この本では社会学者らしくより幅広い文脈から分析しています。特に山田氏も「少子化をめぐるタブー」と呼ぶ,各人の魅力と結婚との関係,経済格差と結婚との関係,若者のセックスの変容という3点からのアプローチはこの本の白眉です。
 少子化は単なる経済問題ではなく,「時代の雰囲気」の感じられる一つの社会現象なのです。
(2007.6.20記述)